青森県 D様 (モロッコ絨毯:クリーニング、ストレッチ加工)
公開:2021/02/24 更新:2022/07/07
「絨毯の波打ちが酷く踏み心地が悪い」とのご相談をいただきました。
購入した時は平らだったのにいつの間にか波を打つように部分的に床から浮いている…また絨毯片側が内側に反ってしまっていたなどの原因は「湿気」や「織癖」です。
天然素材の絨毯には、調湿効果があるといわれています。
化学繊維とは異なり天然繊維には目に見えない凹凸がありここに水分が吸着する事を私たちは呼吸をしている。と表現します。
手織り絨毯は比較的長期間使用しますのでこの呼吸によりわずかずつですがひずみが発生します。
このひずみにより発生した繊維のずれが手仕事である絨毯制作でできた微妙な織癖が大きくなってしまいます。
日本は温暖湿潤気候のため湿気が多く繊維の呼吸の頻度も高いため変形が発生しやすいのが現状です。
絨毯の変形はクリーニング作業のみではお直しができませんので今回はクリーニング+ストレッチ加工(歪み直し)にてご依頼を承りました。
今回お預かりしました絨毯は、キリム絨毯(平織)の絨毯ですので毛足のある絨毯に比べるとより歪みの発生がしやすい物です。
D様からお話をお伺いした通り全体的に波打ちが強く特に左半分が内側に強く反ってしまっている状態でした。
作業工程としましては初めにクリーニングで糸を柔らかくし完全に乾燥させた後、ストレッチ加工台にて上から圧をかけ外側へ引っ張る状態を数日間保ち形状記憶をさせていきます。
変形が弱いものは数日間で正常な形に戻りますが変形が強いものになりますと一週間以上ストレッチ加工を行う必要があります。
全体が硬直していた絨毯に柔らかな感触が蘇り以前のような反りや踏み心地の悪さや床から浮いてしまうといった状態も直りました。
またbefore、afterの写真を見比べますと色のトーンが上がり房糸が一本一本真っすぐに伸び整列しているのがお分かりになりますでしょうか。
クリーニングは清潔すること以外に汚れによって隠れていたお色目を出し毛質を柔軟化させる役割も持ち合わせています。
ペルシャンギャラリースタッフからのコメント
日本の湿気は他国と比較しますとかなりの水分量ですのでその分変形する確率は高くなります。
中でも波打ちは表面に盛り上がり山ができている状態は躓いてしまう恐れがありますので注意が必要です。
変形により左右不揃いになってしまったり、凸凹が気なっている方はぜひストレッチ加工をご検討ください。
【ストレッチ加工の正確な御見積料金は検品スタッフによる現物確認後に確定します】