福島県 S様 (ペルシャ絨毯:クリーニング、4面ロック、日焼け修理)
公開:2021/06/09 更新:2022/07/07
製造から50年は経っているのではないでしょうか。
ペルシャ絨毯タブリーズ産の絨毯です。
お預かりしました絨毯の柄は、[ヘリ―ズ柄]と呼ばれるタブリーズの隣接地域[ヘリ―ズ]の代表柄です。
現在は「マヒ柄」と呼ばれるヒョウ柄のような絨毯が一般化している産地です。
タブリーズの歴史は古く、王都が敷かれていたこともある地域です。
ペルシャ絨毯と言うと女性が織り上げることが印象的ですが、タブリーズ産の絨毯は男性が織り上げます。
結びは[トルコ結び]にて力強く結びあげた後、かぎ爪のような道具で締め上げるのが特徴です。
そんな頑丈な絨毯だからこそ長期の使用にも保つことができます。
S様はこの絨毯と一生添い遂げたいとおっしゃっていましたので最高のクラスの作業をお約束しました。
頑丈な絨毯でもやはり、房や縁かがりロックの損傷が目立ちます。
掃除機を掛けると房が絡むのが気になるとのこともあり、長辺、短編一列綺麗に切り揃え、全面を縁かがりロックにて加工することに承諾をいただきました。
パイル糸の長年の使用により退色がかなり進んでいます。
もう一度新品の時の色彩を味わいたいとのことですので、染色作業もさせていただきます。
いかがでしょうか?
綺麗なアメリカンカラーが復活し、ヘリーズ柄のカクカクとした柄も綺麗に彩色されています。
弱っていた縁部分もすべて交換し、より強固な結びにしましたので、長期の使用にも耐えうる絨毯にメンテナンス出来ました。
新品の絨毯とは違う、味のある絨毯の中に自分の個性を持たせた、世界に一つだけの絨毯が完成しました。
ペルシャンギャラリースタッフからのコメント
絨毯の裏側を写した写真を見ると、柄がなく組織糸が見える部分があります。
これは、虫食いによる欠損跡です。
羊毛製品は一般的には、繊維が調湿をするため「防虫防菌」に優れています。と説明されていますが、
中東のカラっとした気候と違い、温暖湿潤な日本の気候は絨毯にとってはあまり良くないと言えます。
梅雨時期と秋雨の時期にはジメッとした気候が続くこともありカビが生えてしまった絨毯を預かることもありますが、
そんな環境の中に、良質な羊毛が有れば虫も必然と湧くことでしょう。
通年を通して絨毯の換気。出来れば陰干しを行うのも良いですし、裏側の掃除機をかけることも良いかと思います。
日常の簡単なメンテナンスとしてすこし、手をかけてみてください。