絨毯クリーニングは使用する洗剤が重要
伝統的なペルシャ絨毯など、手作業で作られた高級絨毯は、使い込むほどに踏み固められて目が詰まり、強度を増すと言われています。このような絨毯はまさに一生ものであり、年を重ねるほどに価値が高くなります。けれども使っているうちに、汚れが付着することは避けられません。汚れを放置しておくと変色したり虫食いの原因になったりします。美しい状態を何年も保つためには、やはり定期的な絨毯クリーニングを欠かすことができません。
近年では丸洗いできるカーペットなども普及しはじめていますが、一般には家庭で絨毯を水洗いするのは困難です。そこで絨毯クリーニングでは、まず掃除機で乾いたゴミを除去することになります。絨毯の汚れの大部分は泥や埃なので、徹底的に掃除機で吸い込むことが非常に重要です。表面的な汚れは粘着式のカーペットクリーナーでも取れますが、絨毯の毛が抜けたりして傷んでしまう可能性があるので、頻繁に使うのは勧められません。
本格的な絨毯クリーニングは、洗剤を使って繊維の間に溜まった汚れを落とします。しかし経験のない人が、適当な洗剤を使って洗おうとすると、せっかくの絨毯を傷めてしまったり、汚れを取るどころか逆に汚してしまうことがあります。洗剤を選ぶときには、まず絨毯に使われている繊維を見極めることが必要です。材質を示すタグが付いていれば簡単ですが、そうでない場合は繊維を少し取って燃やしてみると、ウールか化繊かが判定できます。
食べこぼしなどでシミができている場合には、専用の洗剤でシミ抜きをします。これも選択を間違えると、絨毯そのものの色が落ちてしまうことがあります。材質を考慮するとともに、シミの様子を見ながら丁寧に対処する必要があります。ペットやカビの臭いが染みついているときには、消臭作用のある洗剤を使用します。繊維を傷めずにシミを取ったり消臭したりできる成分も、現在では次々に開発されています。
絨毯クリーニングは、洗った後のことも考えておかないと十分とは言えません。ふっくらしていた毛がペシャンコになってしまったり、洗剤が繊維の隙間に残っていたりすると、絨毯の使用感が損なわれます。このような場合、一般にはスチームを当てたり、櫛で梳き起こしたりして対処します。またほつれや歪みが発生しているときは、手作業または専用の機械で修正する必要があります。このように絨毯クリーニングは、数々の手間とノウハウが要求される仕事といえます。